《布の汚れの鮮明化画像処理》


【目的】

 着物に汚れが付着した場合,着物の染色補正を行っている技能者が目視で汚れの検出を行い,汚れが付着している箇所の汚れと染料を落とし染色し直している.しかし,着物などの布製品に付着した汚れやシミが小さくかつ淡色な場合,人間の目視では検出することが困難である.また,汚れやシミは布製品の商品価値を下げるだけでなく製品寿命を短くしてしまう.そこで,布に付着した小さく淡色な汚れを画像処理により鮮明化することで汚れの検出の補助や検出時間を短縮させることを本研究の目的とする.


【処理内容】

 本研究では,汚れが付着した布に対し,白色LEDと近紫外LED(波長370nm)それぞれを光源としてディジタルカメラで撮影した2種類の画像に対して処理を行う.まず,汚れを検出する際に布のテクスチャが障害となるためテクスチャ構造の低減処理を行う.本研究では対象画像をブロック分割し,部分空間法を用いた手法とスパースコーディングを用いた手法の二通りの手法を用いて対象画像のテクスチャ構造を低減する.ブロック分割する際のブロックサイズは,パワースペクトルから求めたテクスチャ成分の周期性により決定する.つぎに,布の汚れ部分が画像の色差情報としての特徴を有すると考え,RGB成分の無相関化を行う.2種類のテクスチャ低減画像それぞれのRGB成分同士の差分の三乗の計3成分に対し主成分分析を用いた無相関化を行うことで汚れを強調する.さらに,無相関化を行った成分画像に対し独立成分分析を用いることで独立な成分を抽出し,汚れ部分をさらに強調させる.
 例として図1に処理結果を示す.図1の画像にはそれぞれインスタントコーヒーの汚れが付着しており,白丸でインスタントコーヒーが付着している箇所を図示している.図1(a)に白色LEDを光源として撮影した布画像を,図1(b)に近紫外LEDを光源として撮影した布画像を示す.また,図1(a)(b)に示す2種類の対象画像に対し処理を行った鮮明化画像を図1(c)に示す.対象画像(図1(a)(b))では検出が困難な汚れが鮮明化画像(図1(c))では容易に汚れの検出が可能となっている.




図 1: 処理結果
\scalebox{0.55}{\includegraphics{image/process.eps}}